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コラム

連載/パワハラに甘んじない!!

◆ 2025.01.10

第1回 Aさんの事例(3)/パワハラ不動産営業

【報告者】運営委員・弁護士 丸山 健

前回、Aさんを不動産営業職から切り離してポスティング業務を行わせるというパワハラが、解雇の代替措置として行われ、使用者の適法な業務命令権の行使という粉飾を凝らしてなされたことを述べました。

今回は、Aさんの会社の業態が、不動産仲介等販売であったことの意義を考えてみたいと思います。
不動産販売会社は、仲介業務を行う営業職員に対して、良好な営業成績を上げるようさまざまな形で圧力を加え、またインセンティブを与えます。毎朝の朝礼で、営業職員をして、命懸で顧客獲得に取り組むぞ!などと大声で叫ばしたり、まあ恥ずかしくなるようないろんな事が行われています。

Aさんの会社で行われていたのは、1件の契約獲得もできなかった営業不振月があると始末書提出の懲戒解雇処分になり、それが3回に達すると懲戒解雇に処せられるということが、就業規則上に規定されていたことでした。使用者の懲戒権は、労働者の企業秩序違反行為に対して行うものですから怠業行為ならいざしらず、単なる営業不振を懲戒の対象とすることは明らかに違法です。そのような就業規則の存在自体が、懲戒解雇を脅しの手段として使っていることであり、パワハラと認定することが可能かもしれません。

ここで言いたいのは、不動産販売のように激しい営業活動が行われている業態では、営業労働者に対して適法・違法を問わず、ありとあらゆる圧力~パワハラが加えられて構造化しており、そのような構造化してパワハラが、当然のことのように行われているということです。丁度、ジャニーズ事務所の中で平然と性加害が繰り返されていたように。


(4)へつづく

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