◆ 2024.12.1
第1回 Aさんの事例(1)/パワハラ不動産営業
【報告者】運営委員・弁護士 丸山 健
つい先日、相談を受けて労働審判の申立をしたパワハラ事件が、以下の内容で調停成立になりました。短期決着でした。
① AさんとP社は、同人間の労働契約を、P社の退職勧奨により合意解約し、退職金○○○万○○○○円を支払う。
② P社はAさんに対し、①項とは別に解決金○○○万円を支払う。
Aさんは、宅建主任者等不動産にかかる資格を有し、2018年に、不動産営業職としてP社に採用されました。P社は、大手建売業者の100%子会社で、新規建売や中古建物の仲介を行い、全国に営業所網を持っていました。
Aさんは、初任地の営業所長に嫌われたのか、その後いくつかの営業所をたらい回しされたあと、今度は営業職自体から外されて、たった一人で不動産チラシをポスティングする業務を命ぜられました。それがAさんの退職を目的とする、いやがらせ・パワハラであることは明確でした。
それから3年、Aさんは、夏は危険な暑さのなか、冬は寒風吹きすさぶなか、そしてポスト先の住人からは無断立ち入りで非難されながら、たた一人、重たいチラシを抱えて車の使用も許させれず、徒歩でのチラシ配布を余儀なくされることになったのです。
Aさんは、3年間もよく耐えたものの、精神的にも肉体的にも追い込まれ、ボロボロになっていました。しかし、労働審判・調停成立で、会社を退職することにはなったものの、会社に相当額の解決金と退職金を支払わせることで、一矢報いたことになります。
今回の取り組みを機会に、このHPで、パワハラ問題の連載を行っていきたいと思います。
(2)へつづく
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